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猪蔵 (編集者、経営者) 後半


1

デジタルデバイスの未来


近藤:今、携帯が凄い人数じゃないですか。携帯持ってる人の中にパソコン持ってなかったりする層がありますよね。

猪蔵:僕はもちろんパソコンも使用しますが、思考の部分とか、企画書とか考える時は、まだ鉛筆と紙なんです。でも、ちょっと若い世代だとパソコンの画面でいきなり考える人たちがいて。さらに、女子高生ぐらいになると携帯インターフェイスで思考が出来る。そういう生理になっているんだなと思います。

原稿チェックする時とかって、やっぱり紙に出して見るじゃないですか。この間、20歳過ぎの子とか、文字のチェックをPDFだけでしてるんですよ。それって凄いなって思います。自分には出来ませんよ。

米田:ペーパーレスにみんなしようって言ってるんだけど、結局出来ないですからね。

猪蔵:僕もそう思います。僕がやっぱりまだ紙を信じているのは、結局mixiというネットサービスが流行り、その解説本があるわけです。だから、まぁ紙は死ぬまではなくならないだろうなって。

米田:基本的に人間って手に取れるものがやっぱ好きだし、それを手に入れたい、それを保管しておきたいって欲求がありますよね。

猪蔵:ありますね。五感を使って何かするっていうところに、僕はまだ可能性を感じていて。モニターの中で完結させてしまうのはちょっと違和感を覚えるんです。

近藤:限界はやっぱりありますよ。

猪蔵:でもなんか…、100年後くらいになったら変わっているかもしれないですよね。携帯メールとか女の子とか普通の連絡でも長文でメールが来ますよね。でも自分なんか1行で返すと…。「冷たいんじゃないの」って言われます。

近藤:確かに冷たい感じしますね(笑)。

猪蔵:でも、「え!? これが限界だよ!」みたいな。

米田:え、そうですか? 猪蔵さんでも?

猪蔵:携帯ではやんないです。

近藤:僕も携帯は全然やんないです。パソコンでやるから。

猪蔵:僕はもうやっぱり携帯とかでメール打つんだったら、今、バーチャルキーボードってあるじゃないですか。こういうのがあって……(取りに行く)

近藤:なんかニューデバイスが色々出てくるな(笑)。

猪蔵:これ、こうやって置くと…ここに(接続すると赤いレーザーが放射され、机にキーボードが映し出される、という解説図を見る一同)。本当はキーボードの画面が出てくるんですよ。画面が。

近藤:タッチパネルのように?

猪蔵:そう、で 押すとカシャッて音がするんですよ。

近藤:すげーっ!

米田:それ見たいっスねえ。

猪蔵:携帯につないで長文メールにチャレンジしようかなって(笑)。

近藤:これだったら携帯でできますね、本当に。

猪蔵:埋め込んで欲しいですよ、ぜひ。座標でどこを押したかっていうのをセンサーが認識するみたいですね。

近藤:最初の高級家電の話でも、初めに聞いてたのは、凄く小さいカメラでそこからホワンって空中に画面が映し出されて、ピピピって操作出来るようになる!って話で、それはすげー!って言ってたんですけど…結局ならなかった。

猪蔵:それを言うなら、携帯をプロジェクターとして使いたいし、もしくは携帯にレーザーポインターを付けて欲しいですね。

米田:こういう情報って、やっぱり海外回られているときに取ってくるんですか?

猪蔵:そうですね。サイトとか雑誌とかも読みますし。後は、大学とかでちょっと変わっている人がいるじゃないですか。そういう人に話を聞くと、大体ポロっと見せるヤツがいたりして。

米田:それはインタビューや取材に行ったら、ということですか?

猪蔵:取材でもそうですし、展示会とかの夜のパーティーとかって結構、変な人たちが集まっているから、展示会よりそっちの方が大事なんですよ(笑)。

2

M&A、ホリエモン、ipod…企業もメディアも編集する時代


猪蔵:僕はまんだらけ時代に、IR(インベスター・リレーションズ=株主や投資家に対し、企業が情報を適時、公平、継続して提供して行く活動全般)をやってたんですよ。ですんで、対企業として、「うちはいい会社ですよ」ってやってたんです。前は編集される側だったんですが、今度は編集する側として参加したいなと思ってヴェンチャーキャピタルでM&Aを担当していたりするわけです。今、いい会社があるなら、それに色んなものを集めて強くして世の中に出したいっていんですね。

米田:やっぱりそれも編集ってことですね。

猪蔵:はい、まさしく編集そのものですね。例えば、技術は凄くあると。でも、営業とデザイナーがダメで、それが三つ合わせると凄く良くなるんじゃないの?っていうような話ですよ。

近藤:凄い色々なレベルでやってますよね。フリーペーパーのストリートのレベルだったり、結構デカい企業のレベルだったり。やっぱり両方の分野に興味があるからですか?

猪蔵:でしょうね。やっぱ両方とも興味がある部分です。

米田:今、30代のそれこそITの起業家の人たちが、M&Aで世の中を騒がせてますけど、どう思います?

猪蔵:ただお金のことに執心するだけでなく、「世の中ってこういう仕組みがあるんだ」ということを普通の人が目に触れるようになった事は凄くいいと思います。

近藤:例えば彼らの価値観みたいなものとかは?

猪蔵:ホリエモン氏は「人に興味ないんだなって、この人は」って思いますね(笑)。

米田:クリエイティブっていうのにあんま興味ないんですかね?

猪蔵:多分、「これはすげえ!」と思ってクリエイティブを見るんじゃなくて……

近藤;金になる?

猪蔵:そう、金になるとか、「あの人がいいって言ってたから多分カッコいいんじゃないの?」って感じですかね。

近藤:彼らの「とにかく上昇していく、大きくなっていく」っていう志向については?

猪蔵:えっと、ホリエモン氏に関してはルサンチマンっぽい感じがあるんですよね。凄い影を感じません?

近藤:上の世代の腐ったミカンとか、若き日の自分に対してのルサンチマン。

米田:あと…僕らが思うのは、やっぱり価値観の中に基本的に愛とかクリエイティビティがないと共感できないんですよ。例えば、色んなスーパースターがいるけど、ジョン・レノンでもマイケル・ジョーダンでもいいけど、新しいことやったり、それがカッコよかったり夢を与えたりっていうのがあるじゃないですか。もちろん、そこにはどれだけ稼いだとか、どんだけ凄い記録を残したっていうのが含まれてるんだけど、彼等にはそれをあんまり感じないんですよね。

壁には歴代宇宙飛行士の系譜図が。

猪蔵:だから、宇宙事業をやるとか堀江さんは言っているけどあまり響かないんですよ。逆に自分で宇宙に行く友人のDice-K(榎本大輔氏。元ライブドア取締役で、日本人初の民間宇宙飛行を目指し、ロシアの施設で訓練中)の方が全然説得力あると思うんですよね。同じ大金使うにも、送り出す堀江さんと自分で体を張ってるDice-Kを比べると、絶対自分で行く方が夢があって、カッコいい事ははっきりしていますよね。

米田:VIRGINグループのリチャード・ブランソンは愛とか夢を語るじゃないですか。だからいいなって思ったし、VIRGINのレコードストアもカッコ良かった。アップルとかナイキもそうだし、企業としてのカッコ良さっていうのがあるじゃないですか。

猪蔵:ありますね。アップルなんか一転して音楽業界でも有数の企業になっちゃいましたね。

米田:そう、だからiPodなんて、ポップギアとしてはエレキギターぐらいの発明だと思うんですよ。

近藤:ウォークマンに次ぐ画期的なものだよね。

猪蔵:当たり前のことなんですけど、それを上手く編集してREFINEしてっていう。『shuffle』が出た時なんか、「ものは言いようだなぁ」と思いましたよ。

近藤:ランダムプレーってことですよね。「昔からこれあったぞ」みたいな(笑)。でも、iPod買ってランダムプレーすると楽しいって発見しましたよ。

米田:逆にそれもREFINEですよね?

猪蔵:そうです。本当に凄いですよね。アップルストアもいっぱいでき始めて。

近藤:iPodのビデオ版も出たじゃないですか。さっきのニューメディアの話にもつながるけど、iPodに映像を受けとるようになるんじゃないか…。他にもハードディスクで録画するとかありますけど、その辺りはどう思います?

猪蔵:多分、他の人たちが言っても浸透しないと思うんですけど、アップルが先陣切ってああいう風に言うようになった事によって、多分増えると思いますよ。

近藤:あそこでテレビ番組を見たりするんですかね?

猪蔵:見るんじゃないですか?僕ね、この間携帯に入れてる子がいて見せてもらったんですけど、いいと思いましたね。

近藤:でも、今、携帯会社がテレビ電話とかなんか色々やっていてもあんまり…

猪蔵:響かない。

近藤:響かないですね。僕も仕事でやってたりしたんですけど。

米田:iPodは転送が面倒くさいからデータの保存用にしてるって、猪蔵さんは以前のインタビューで言ってましたけど。

猪蔵:今日ね、たまたま転送用のやつを音楽用に変えてみようかなと思って、僕もアップルの手法にはまっちゃいましたよ。
その保存用のiPod 15ギガの第二世代のヤツは、もう本当にハードディスクで使ってたんですけど、その後、shuffleを貰って、好きな曲と落語とか入れて聞いてたんですよね。それでiTunes Music Storeが出たじゃないですか。試しに買ってみたら…やっぱ買っちゃったんですよ。
そうやって教育されているうちに、その煩わしいのもいいやって思って。本当に今日、たまたまこのインタビューと関係なく久々に音楽用にしようと思って充電してるんです。

全員:(笑)。

3

今興味があってやらなきゃいけないことをやるのが一番のコア


由来は実際にそういう佇まいの犬がいたからだそう。

米田:『ヒマナイヌ』っていう会社は今どういうことをやられているんですか? 

猪蔵:ヒマナイヌは、まさしく映像制作だったりとか、ラジオの構成をやったりとか、出版もやっています。メインはフレームワークを考える事かな? 世の中にこういうものがあると面白いんじゃない?みたいな。
相棒が元々太陽企画っていうCM制作会社にいた人間なんです。その彼と2人でやってて、“バイラルのクロスメディア”っていう適当な名前を付けて、色んな事混ぜて色んな事出来ますよ、っていうプレゼンをしています。

近藤:今、たくさん仕事してるじゃないですか。その中の自分のコア(核)というのはありますか? これから力を入れていきたいなって思ってるとことか。プロジェクト単位でしてるのかもしれないですけど、M&Aの仕事、フリーペーパーもあるし、SNS系のことについて本書いてるし、それからお店、リアルな場所とか、幾つかプロジェクトが同時進行してるように見えるんですが、それは全部並列なんですか?

猪蔵:並列ですね。ただやっぱり、目が向く方は新しい、まだ自分が踏み入れてない部分ですよね。お店も何だかんだで4年位やっちゃったし、編集なんか10何年…、変な話、小学校の頃から考えると壁新聞から作ってたんで、キャリアがあるわけですよね。

近藤:小学校の頃、壁新聞やってたなあ(笑)。

猪蔵:やっぱり、新しいことに踏み入れたいなっていうのが基本にあるので、何か新しいことが起きてきたら、来年は何やってるかは分からないと思います。
ただ、何かあって、「良いものだから人に伝えて何かして下さい」って言うんだったら、その自信だけはあるんですよ。編集して世の中に咀嚼するっていうのは。
だから、何に力入れるというより、今興味があってやらなきゃいけないことをやるのが一番コアだと思うんですね。

4

ブルーマン、メガデモ…マイ・ソース


ブルーマン・グループ

全身を真っ青に塗った三人組が言葉を使わずに動きや目線、表情でパフォーマンスを行う。アメリカに行く度に観ていた。

メガデモ

いかにミニマムで高品質な映像やプログラムを作るかを競う。北欧などで発表会が定期的に開催されている。

お茶の間

「緑」をつなぐベースはまさにここに。お茶の間の復権を!

カンフー

ジャッキーやブルース・リーに人生を学びました。蛇拳は、完コピできます。


ブルーマン・グループ

猪蔵:人に魅せるとか楽しませるっていう意味で、『ブルーマン』が大好きなんです。

近藤:ニューヨークで公演したりしてるやつですよね。結構長いですよね。

猪蔵:もう10何年やってますね。『ラ・ママ』というお笑いの小劇場がニューヨークにあるんですね。そこで彼らがやってた時に見て、「おーすげえ!」と思って。元アミューズの方がプロデュースをしてニューヨークで始めたんですよ。で、それを舞台化した時に初めて観て、「おー、もっとすごい!」ってなって、10何年と行く度に観てたんですけど、今だともう全米6カ所くらいでやってます。

米田:パフォーマーですよね。

近藤:あの真っ青に塗って。ニュースとかでしか見た事ないけど。

猪蔵:“ノンバーバル・コミュニケーション”という学問があって、言葉を使わずに人の動きとか目線とか表情とかトーンとかでやるっていう、それに近いパフォーマンスです。今、もうニューヨークは400人ぐらいですけど、ラスベガスのハコだと毎晩、1500人くらいのお客の前でやってますからね。それは面白いですよ。

メガデモ

猪蔵:『メガデモ』っていうのは、ゲームとかの最初のイントロとか、ちょっと長めの音楽と映像流れるじゃないですか。ああいうのを、凄いいい音でプログラム作る、その極限までクオリティを保って削っていくっていう、ちょっと俳句的な職人みたいなプログラマーな世界があるんですよ。

近藤:今でも存続してるんですか?

猪蔵:存続してます。北欧とか行くと結構あって、昔はそういうアンダーグラウンドなハッカー達の集まりだったんですけど、今はもうマイクロソフトだったりとかオラクルとか、そういうとこがプログラマーの青田買いに行く大会になっています。『アッセンブリ』とか『ギャザリング』っていうプログラムの大会があって、今年のテーマは「月」だったんですよ。で、月に関する音楽と映像を…

近藤:なるべくミニマムな情報で…

猪蔵:がっーと作る。

近藤:最近、コンピューターの映像とかもメチャクチャ綺麗になっちゃって。でも、かえって昔のファミコンの、あの懐かしい絵がよかったりとか、ちょっとアナログっぽかったり、シンプルな方が良かったりするっていう流れもありますよね。

猪蔵:そうですね。メガデモは今のプレステくらいのレベルのAOをプログラマーで軽く作ってて、ちょっと異常な世界ですね。

米田:これに出会ったのっていつぐらいです?

猪蔵:中学校とか高校くらいの時ですね。なんかねえ、そういうコアなゲームとかも、実はあんまりやってなくて、そういう雰囲気が好きなんですよね、ギークな世界が。ゲームとか、昔の方がやっぱり好きですね。

5

Google検索、本屋…フューチャー・ソース


グーグル検索

何かと何かを繋げると対応して違うものが抽出されるのが面白い。グーグルって会社自体もこれからとてつもなくなりそうで、追っかけています。

本屋

一応、古本屋さんの資格は持っています。小さくてもいいんで、自分の好きな本だけ置く本屋がやりたいですね。

中国

世界中の色んな人を見ましたけど、中国が一番凄いと思う。

モノマネ

モノマネをやる人が、ある人のどの部分を抽出するのかっていうことに興味があります。


Google検索

猪蔵:さっき人を繋げると、対応して違うものが抽出できるんじゃないかって話あったんですけど、『Google』は面白いですね。暇な時に検索して、ちょっと違うマッチングがあったりして。

近藤:企画とかをしてる時に、暇潰しにその企画に関連してGoogleでイメージ検索すると、「あ、こんなん出る!」とかありますね。たまたま何かがクリックして違うのになったりする。

米田:僕もこないだ、「アメリカのおっさん」っていうキーワードで検索して、次に「タイのおっさん」で引いたんですよ。そしたら、あのう……、釣りオヤジがいっぱい出てきまして。釣り上げた鯛をみんな持ち上げてるんですわ。

猪蔵・近藤:あーーー!(笑)。

米田:それが可笑しくて可笑しくって。妙な画像がいっぱい出てくる時の衝撃に1人笑ってたんだけど。

猪蔵:ありますあります、そういうの。

近藤:Googleが面白いってどの辺なんですか?

猪蔵:あそこは会社もちょっと変わってますよね。色んなことやってますよ。だから、Googleって会社を今はちょっと追っかけてて。とてつもない会社になりそうな気がしています。

本屋

猪蔵:あと、今、やりたいのは本屋ですね。

近藤:なぜですか?

米田:まんだらけも本屋さんですよね。

猪蔵:一応、古本屋さんの資格は持ってるんですけどね。最近、流行っててみんな本屋さんやってるじゃないですか。僕はちっちゃくても、ほんと自分の好きな本だけ置くみたいな、一日売上500円くらいの本屋がいいなあと思って。

米田:NYとかそういう本屋が結構ありますよね。「これ、どーやって経営してんだ」みたいな(笑)。

猪蔵:日がな1日、寝そうになっちゃいそうな。

近藤:面白い本と美味しいコーヒーがあったらそれでいい。

猪蔵:妄想が広がるんですけどね。ビルのオーナーで、一角でやってるっていうか、まあ、本屋じゃなくてもいいですよ。煙草屋みたいなのでも。定点で街の観察できるような感じかな。

米田:映画『スモーク』みたいですね(笑)。

猪蔵:そうですね。大通りにぽつんと座って観察してみたいです。中目黒かなんかの古道具屋さんで、タバコ屋の軒先のユニットが20万で売っていたんですが…。今買っても置くとこないんだけど、家の一角とかに出したいですね(笑)。タバコ屋とかしてないのに、通りにあれ出してお茶とか出したいんですよ。無愛想なんだけど、そんなオヤジになりたいですね。

中国

猪蔵:注目してるのは中国ですかね。仕事でも遊びでも行ってます。大陸にいると色んなことが違うじゃないですか。アメリカとかヨーロッパとか回って色んな人を見ましたけど、中国が一番凄いと思います。だって、オリンピック誘致のために、スプレーで緑色に塗るんですよ。

近藤:実際に僕も見たけど、凄い感覚ですよね。街路樹をグリーンで塗るという(笑)。

猪蔵:電車で人がまだ降りてないのに発車したりとか。やっぱり14億人いるんで、DNAが凄い逞しいんですよ。上海だって、あんなきらびやかな感じだけど、裏通りに行くと凄いし。好きなんですけどね。ちょうどね、『華氏911』が世界で封切られた日に、そのDVDが路上に並んでいるとかね(笑)。

近藤:コピーライト事情についてはどう思いますか。

猪蔵:海賊版というのはあんまり手にしないようにしましたけど、変な作りの、プレステなのにファミコンだったりするようなフェイク感は好きですね。ただ、海賊版は、元の制作者に還元されないのは意味がないですね。

モノマネ

猪蔵:モノマネをやる人がある人のどの部分を抽出するのかっていうことに興味があって。「なるほどここデフォルメするのか」っていう。今、例えば「千昌夫」だったら、コロッケしか思い浮かべないじゃないですか。コロッケが真似している千昌夫の姿しか。

米田:僕は関根勤さんが好きなんですけど、一番笑ったのが「クロマニヨン人の真似」でした(笑)。そんなの出来るのかよっていう。

近藤:関根さんの編集力が独自なんだよね(笑)。人間ってなぜ真似するんですかね。

猪蔵:学習の形態がそうだからじゃないですかね。なぞるというか。

米田:まねる=学ぶ、じゃないですけど、モノマネって学習の最初の段階ですよね。

猪蔵:そうそう、漢字の書き取りって、薄いグレーの線をなぞりますよね、あれも真似ですよね。僕、両利きなんですよ。字は右で、絵は左です。両手で違う字を書けるともっと凄いんですけど。

米田:そんな人は見たことないなあ(笑)。

猪蔵:あと、人が言ったことを鸚鵡返しにすると人間って安心するらしいですよ。

米田:それに、人の口調を真似するとその人の思考方法も入ってきますよね。

猪蔵:僕もプレゼンの前とか、ジョブス(スティーブ・ジョブス。Apple社創設者の1人。現Apple社CEO)の演説とかを入れますよ。内容じゃなくて、「こういう息継ぎとか間なんだ」ってね。

ファーストフード

猪蔵:ファーストフードって言葉を聞いて何を思い出します?僕はうどんなんですよ。うどんが大好きで。これってフューチャーソースじゃないですよね(笑)。

米田:いやいいですよ!『はなまるうどん』とかですか?

猪蔵:四国、香川、愛媛とかファーストフードって少ないんじゃないかって思うんです。推測ですけど。みんなうどんを食うんですよ。部活の帰りにもうどんだし。

僕はアメリカの『フライデーズ』が大好きなんですけど、ソウルフードとかファーストフードとかうどんとか、たまに無性に食べたくなるんですよ。今、そん中で商売にしようとして、手垢が付いてないのはないかなって探しています。

6

縁とおもてなしと「頓知」


最後に写真撮影。男2人に挟まれ窮屈そうな猪蔵さん

米田:最後にお聞きしたいんですけど、「縁」と「おもてなし」っていうのが猪蔵さんのキーワードとしてあると思うんですけど、暖かくていいなあって思っていて。

猪蔵:あと、「頓知」ってのも僕のキーワードにはあって。人を驚かせたりとか「ああ、上手いことやるな」とか、そういうのをやられると凄く嬉しいし、いたずらをやりたい方なんです。世の中の活動ってそうあるべきだなって思うし。相手のことを想定しながらいつもやりたい。こうデザインをこうして、あの人にこう思ってもらいたいっていう、サービス業ですね

米田:じゃあ、猪蔵さんの縁ってどこまで続くんですかね。

猪蔵:やっぱり新しく知り合っていきたいですね。知らないことには凄い興味があるんで、踏み入れば踏み入るほど分かんなくなっていくっていうのが生きてく面白さじゃないですかね。

1971年イギリス生まれ。いつも腹ペコ。世の中の面白いことを常に探っている在野の雑誌編集者。最近は勢いで原宿と麻布十番にカフェバー「縁縁」を展開中。また映像に関するライティングや著書、ラジオ番組の構成も手がけ、映像、紙媒体、世の中を編集していくことに夢中な三十路。現在は少数精鋭のヴェンチャーキャピタル、(株)アストリックスキャピタルパートーナーズと(株)ヒマナイヌの二枚看板。アナログベースで人間の根元的な行動、記憶、フィードバックを活性化させるための提案を行っている。「人への思いやり」や「おもてなし」をテーマに頓知の利いた商品を世に送り出そうと奔走中。

インタビュー:米田知彦(TS副編集長)、近藤ヒデノリ(同編集長)
写真:NOJYO
協力:松井真美、真田陽子、蓮尾優貴、大西正起
場所:青山/株式会社アストリックスキャピタルパートナーズ
日時:28/10/05

株式会社ヒマナイヌ
株式会社アストリックスキャピタルパートナーズ

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