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ポール・コールマン (アースウォーカー) 後半


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アースウォーカーになったきっかけ


カナダでの富豪のお抱え運転手時代。

ポールさんの生涯については、彼の現在の奥さんであり、今回の旅も一緒にしていた菊池木乃実さんの著書、『木を植える男 ポール・コールマン』(角川書店)に詳しいが、彼から直接聞いた話を中心に、かいつまんで書いておく。

元々は18歳から旅の生活。その後、船に乗るシェフとしてパーティー三昧のセレブな生活を送った後、カナダのとある富豪のお抱え運転手として10年間働く。何台もの超豪華自家用車を乗りまわし、夫人のお供で世界各地へ旅行もできる、何一つ不自由ない毎日。

メキシコにて

だけどある日、地球の環境がおかしくなっていることに気づき、地球を守るために自分にできることを探したいとアイスランドへ自転車一人旅に出かける。そこで大地の割れ目を覗き込みながら、「これからは誰かのためじゃなく、地球のためだけに働こう」と決心したこと。

そして1990年、2年後にリオで開催される地球サミットをめざし、当時住んでいたカナダから歩いて木を植え始めたこと。1人の男が地球を歩き、木を植えることを通して環境の大切さと平和のメッセージを伝えていくという行為が大きな反響を呼び、国連を始め、サミット参加者に認められ、UNEP(国連の環境機関)から「アースウォーカー」という名を授かったこと。

南アフリカにて

以降、彼はこれまで39カ国、4万7千キロ以上を歩いて植樹してきた。2004年には、Global Peoples Assemblyという団体から、「Heart of Humanity Award」 を受賞(なんとこの賞の2年前の受賞者はダライ・ラマらしい)する他、愛知万博のときは「地球を愛する100人の1人」に選ばれ招待されていた。2008年、Supreme Master Ching Hai International Associationより、「Shining World Leadership Award」を受賞。現在は、国連ピース・メッセンジャー・イニシアチブ「Culture of Peace」の大使をしており、20世紀に戦争で亡くなった1億人のために、1億本の木を植えていこうとしている。

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FUTURE SOURCE


ポールさんが今、注目しているモノ・ヒト・コト

ワンダルフ・ワールド植林フェスティバル

てんつくマンらと作ったプロジェクト。2008年10月から稼動。内モンゴルや南アフリカなど世界中に植林をして、地球を緑にしていく

パタゴニアに環境共生型の美しい家を作る

世界に見せるショーケースにしたい

国連・国際平和デー(9月21日)

国際平和デーを運営している Pathway To Peace の顧問を務めているため、国際平和デーを世界的に広めたい

人生の毎日が地球へのギフトになるように努める

それは気持ちのいいことだから

地球と自然環境と全ての生命のために行動するよう、さらに多くの人々をインスパイアする


3

パタゴニア、「きのこ型」の未来の家


20年近くも固定する家をもたずに世界を歩き、木を植え続けてきたポールさんだが、50歳という年齢にさしかかる今、久しぶりの定住生活を考えており、すでにパタゴニアに土地を買い、そこに家を作る計画を建てているという。

なぜパタゴニアなのか。ポールさんは、地球が危機的なことになっている今、地球上でどこが一番安全で大自然が美しく、環境がきれいなのかを考えたという。アメリカからも、ヨーロッパからもかなり離れた南米大陸の先端。はたして、その推測を裏付けるかのように、彼がパタゴニアに土地を買ったすぐ後に、NASAの物理学者が核戦争の影響を最も受けにくい場所としてパタゴニアにすでに土地を買っていたことを知ったとか。

Paul & his wife, Konomi

ポールさんはその土地に、周囲で簡単に見つかるクラッシュストーンを詰めたズタ袋を積み重ね、セルフビルドで家を建てるのだという。厚みがあるから、寒いパタゴニアでも室内温度も守れるし、そもそも誰にでも自分で作れる伝統的な工法を現代型に発展させたもので、これは、「Earthbag Home」と呼ばれている。形は「きのこ型」を考えているという。森の中、小さな入口部分から細い通路を入っていくにつれて、大きな視界が広がる居住スペース。

「どうせつくるなら、スペキュタキュラーな家にしたいんだよね。建築雑誌にも載るような(笑)。」

そんな欲を捨てない言い方に人間味があって、ポールらしい気がする。機能だけを考えたシェルターのような家ではなく、環境共生型の美しい未来の家。そこは文字通り地球を自分の足で歩いてきたポールによる、現実の理想郷のようなものだろう。非現実なユートピアではなく、地を這うようにリアルでサステナブルな、地球と共生する未来のライフスタイルを実践し、提示していく家。
「いつでも来てほしい。そのために広い土地を買ったんだから(笑)。」
近い将来、機会をつくって僕も是非、行ってみたいと思う。もちろん、手みやげにおいしいビールをもって。

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interview by:

近藤ヒデノリ Hidenori Kondo
クリエイティブディレクター、CMプランナー
TOKYO SOURCE編集長、季刊誌「広告」編集委員

1971年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。東京写真専門学校中退。博報堂に入社後、休職してNY大学/ICP修士課程で写真と現代アートを学び、9.11直前に帰国。同社に復職後は、TVCMやウェブなどの広告を制作しながら、個人としても個展・グループ展、展覧会キュレーション、書籍の編集など手法を選ばず表現活動を続けている。ラクダ似な旅好き。(photo: Suguru Takeuchi)
ブログ「TRAVEL HETEROPIA」http://d.hatena.ne.jp/camelkondo/

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1954年、イギリス生まれ。1990年以来、世界中を歩いて木を植えることを通じて平和と環境へのメッセージを伝えてきたアースウォーカー。これまで39カ国、4万7千キロ以上歩き、1130万本以上の植樹をしてきた(協力者分も含む)。2004年には、Global Peoples Assemblyという団体から、「Heart of Humanity Award」 を受賞する他、愛知万博のときは「地球を愛する100人の1人」に選ばれ招待されていた。2008年、Supreme Master Ching Hai International Associationより、「Shining World Leadership Award」を受賞。現在、国連ピース・メッセンジャー・イニシアチブ「Culture of Peace」大使。20世紀に戦争で亡くなった1億人のために、1億本の木を植えていこうとしている。

アースウォーカーホームページ
http://www.earthwalker.com/

Yahoo!JAPAN オフィシャルブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/earthdaywalk

インタビュー・構成:近藤ヒデノリ(TS編集長)
日時:2008年8月4〜6日
写真:ポール・コールマンさんより

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