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【ツアーレポート】"EARTH TRIP" vol.1「新潟県池谷 アースウォーク&植樹ツアー」supported by 貝印


消費の旅ではなく、土地のストーリーを共有し、地域とつながる新しい”旅の形”を――

そんな理念のもと、スタートを切った「アーストリップ」。
その第一回はアース・ウォーカー・中渓宏一さんをゲストに向かえ、理念に共感してくれた17名の参加者とともに、冬風吹きすさぶ十日町市の"池谷集落"にて催行された。

池谷集落は、6世帯13人のいわゆる”限界集落”。
2004年の中越地震では家屋全半壊の被害を受け、戸数も8軒から6軒へ減少、村をたたむ寸前まで追い詰められていた集落。そこへ自立支援NGOのJENが震災からの復興と地域おこしを進め、”何もない"村でありながら、日本中から人を引き寄せる不思議な魅力を持った村へと今、変化を遂げつつある。

僕らは今回のツアーで短いながらも池谷に滞在し、土地の空気と地元の人との交流を味わうことで、日本の地域の魅力とは何か、何がこれほど人々をひきつけているのか、そんなことを考えるきっかけを与えてもらった。
さらに現地では植樹祭を行い、100本の苗木を「いのちの森」に植樹。苗木の傍にはそれぞれが「メッセージ」も残し、木の生長とともにメッセージを観に再訪する楽しみも生まれた。

そんな実りの多い旅だったが、実は池谷がツアー旅行者を迎え入れるのは今回が初の試み。それこそ居住者よりも多い人数の旅行客を受け入れ、さらに交流の場を持つことは可能なのか……初めてづくしで、TSにとってもJENや地域おこし実行委員、地元の人たちにとってもチャレンジングだった今回のツアー。

関わる人たち一人一人の協力のおかげで、皆で作り上げるような「顔の見える」旅にすることが出来た。

アーストリップ第一回の模様……たっぷりレポートします!

(文章:坂口惣一(TS)写真:武田陽介)

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ツアー日程



<1日目>-------------------------------------------------
9:00 東京池袋駅よりツアーバスにて移動
12:30 [昼食] 豆腐屋レストラン あぜ道
14:00 池谷集落でのアースウォーク
15:00 中渓宏一× JEN代表・木山啓子「アーストーク」
17:00 「キナーレ」(温泉)へ
19:00 [夕食]地元の人を囲んでの交流会
21:00 中渓宏一「囲炉裏トーク」
24:00 就寝

<2日目>--------------------------------------------
8:00 [朝食]民宿かくらで蕎麦と山菜料理
9:30 植樹祭/「いのちの森」にて苗木を植樹


13:00 [昼食] うぶすなの家
15:00 「キナーレ」で温泉へ
16:00 十日町市よりツアーバスにて移動
19:00 池袋駅にて解散
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【初日】池谷到着! アーストークへ


池袋駅からバスで4時間。新潟県十日町市、六日町ICから車で40分の山間に池谷はある。昼食を国道117号沿いの豆腐屋レストラン「あぜ道」で済ませた「アーストリップ」一行は一路、池谷集落へ。

バスが村の入口にさしかかると、「ようこそ池谷」の文字が目に入って来る。

今回現地でツアーの準備を進めてくれたボランティアの皆さんと、十日町市地域おこし実行委員長の山本浩史さんがお出迎え。大勢の出迎えに驚き気味の参加者だったが、皆さんの気さくなもてなしにこの村でこれから起こる出来事への期待が徐々に高まる。

ちなみにボランティアスタッフが頭に巻いている手ぬぐいは、村おこしのボランティアに参加すると無料でもらえる一品。

村の入口からトーク会場の古民家「中屋」までは歩いて20分程度。

山本さんによる池谷案内を聞きながら、早速「アースウォーク」開始!


池谷は美しい資源に恵まれている。

水は水道水ではなく、地下水を吸い上げて使用しているそうだ。雪解けのおいしい水は「山清水」と呼ばれている。その水を使って作られたお米は池谷のブランド米「山清水米」として販売もされている。夏には美しい棚田を観ることもできる。


だが同時に村のあちこちにはいまだに震災の爪痕が残っている。山本さんも震災後、地震の記憶から家の下敷きになる恐怖感に苛まれ、「家に入る」ことが極端に躊躇われたそうだ。





こうして、トーク会場の「中屋」へ到着。
使われていなかった古民家をボランティアがリノベーションして作った素朴で雰囲気のいい空間。

この場所で、「アーストーク」がスタート。

アース・ウォーカー中渓宏一×自立支援NGO・JEN代表木山啓子(司会:TS米田)による
「池谷発、日本を面白くする地域」についての対談。

1時間半のトークは熱を帯びたまま終了した。
ゲスト2人の池谷への想いに触れられたのはもちろんだが、何よりよかったのは、池谷に関わる人たちのそれぞれのストーリーが垣間見れたこと。実行委員長・山本さん、ボランティアの方々、木山さん、中渓さんと、池谷に引きつけられ、何かにつけて戻って来る彼らが何を想い、なぜ再訪するのかを聴くことが出来た。ボランティアスタッフの「池谷に来ると自然と挨拶が出る、東京ではしないのに」という言葉が印象的だった。訪れた人の心を自然と開かせるもてなしの空気がここにはあるのだろうか。

これまで言葉だけでとらえていた池谷という場所が、少しずつ、感触的に、参加者の中で像を結び始めるきっかけとなった時間だった。



3

【初日】大交流会 


「キナーレ」の温泉でひとっぷろ浴びた後は、池谷集会所で地元の人たちとおいしい田舎料理、山清水米、日本酒を囲んでの大宴会。

この大交流会、当初は地元の人たちとの交流を目的にしていただけだったが、実際にはそれ以上に様々な人たちを巻き込んだ充実した「出会いの場」にすることができた。


まず今回の食事、田舎料理を作ってくれた、松之山で
貸民家「みらい」を営む若井さん。彼の声かけで集まってくれた松之山のおばちゃんたち4人が1日がかりで手作りしてくれた。

松之山の人たちがこうして池谷の人たちと集落の枠を超えて交流すること自体は本当に珍しいことなのだそうだ。たしかにこんな機会がなければ、他の集落の集会所で飲み食いするなんてきっかけもないだろう。思わぬところで交流を生んだことも、今回のツアーの副産物。

 
さらに宴会の途中、十日町のパン屋の店長さんがおいしいパンを持って、飛び入り。実はこの店長さん、ラジオで中渓さんのウォークのことを知り、ずっと本人に会う機会を探っていたのだそうだ。そしてmixiで今回のツアーのことを知り、中渓さんに一度会いたいとわざわざ差し入れを持ってきてくださったのだ。

こうしてツアー参加者、ボランティア、町おこし委員、ゲストを交えて大自己紹介大会。
出自も経歴も全く異なる人たちがこうして一堂に会したことにつくづく驚かされるばかり。
これも池谷という「場」の引力が起こした、ちょっとした奇跡。









                    自己紹介の最後に、村人たちは「自己紹介代わり」として村に代々伝わる「天神囃子」を披露してくれた。結婚式などの祝い事に謡われる“祝い唄”として伝わっているそうだ。
イントネーションや詠い回しなど地域によって異なるという囃子は、時代の変化に耐えながら、楽譜に落とされることもなく、ただ「人」によって引き継がれている。その圧倒的な迫力に思わず涙する参加者もいた。

こうして、集会所での熱のある交流会はお開きとなり、宿泊地「民宿かくら」での二次会「囲炉裏トーク」へと。日本酒の杯を傾けながら、夜は更けていくのであった……

4

【二日日】植樹祭


翌朝、朝食も早々に今回の旅のメインイベント植樹祭に向かう。昨日夜が明けるまでたんまり酒を飲んだせいかどうにも行動が鈍りがち。そんな僕らを見かねて村の人がトラックを出してくれた。

トラックの荷台に揺られながら、山道を登って植樹祭の場所「いのちの森」ヘと向かう。

「いのちの森」に到着すると、ボランティアの方々が用意してくれた長靴に履き替えて、木を植える準備を整える。中渓さんから苗木の扱い方、土のかけ方などのレクチャーが始まる。粘土質の土地なので水はけが悪く、かなり土を押し付けて空気を抜かないと苗木が枯れてしまうそうだ。(実際、前回の植樹祭で植えた苗木もかなりの数が枯れてしまっていた。)

苗木はコナラやブナなど全部で9種100本。そのうちの70本は、東北緑化環境保全株式会社様の無償のご提供をいただき植えることが出来ました。

参加者は村の人が掘ってくれた穴に各々選んだ苗木を一本ずつ植えていく。木を植える行為はほとんどの人が初めて。おそるおそるではあったが、みんな久しぶりに感じた土の感触を楽しみながら(子供の頃以来?)すくすくと育ってくれるよう願いを込めて、一本一本、大切に植えました。






                    そして参加者やボランティアのみんなで木片のメッセージボードにメッセージを書いて、打ち付ける。それぞれの想いが残されたメッセージボード。10年後、20年後、訪れた時にこのメッセージは未来の自分にどんな影響を与えるんだろうか。木の成長とともに次回の訪問がすごく楽しみになった。






                    苗木を植えた後は今回ツアーに参加してくれたアーティスト・新野圭二郎さんの指揮による「世界同時共鳴プロジェクト」へ。

このプロジェクトは、世界中にある鐘を同時に鳴らすことで、人類の平和への祈りを国や人種を超えて共有しようという壮大なもの。その場にいる全員が持ち寄った様々な音色の鐘を手にして、1分間の沈黙の後、一斉に鐘を鳴らす。

僕も国連大学での第一回に参加していたが、青山という都心と池谷とでは全く違う体験になった。
新野さんの「マニュフェスト」朗読の後、1分間の沈黙が始まると、それまで全くと言っていいほど聞こえてこなかった鳥のさえずりが聞こえてくることに気付く。

目を閉じて、沈黙に身体を浸していると、空気がどんどん澄んでいくような錯覚に陥る。

そして、一斉に鐘の音が池谷の空に響く。

まさに苗木に命を吹き込む儀式のようだ。

次に中渓宏一さんによる「アースジャンプ」。

みんなで輪になったまま手を繋ぎ、ジャンプする。

ジャンプの瞬間に、「こうなってほしい理想の地球」を想像する。

次に着地した時にはその「理想の地球」に変わっているよう願いを込めて。

総勢50人の輪が一気に池谷の空にジャンプ!

世代や性別や経歴やいろんなものを超えて、決定的に繋がった一瞬だった。

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こうして無事に「アーストリップ」VOL.01は終えることが出来ました。

まだまだ不行き届きの多いツアーでしたが、参加してくれた皆さん、改めてありがとうございました!
また現地での惜しむことない協力をいただいた皆さん。皆さんのお力添えなしではツアーの成功はあり得ませんでした。本当に感謝しています。

池谷という場所が、日本のローカルの向かうべき姿として、モデルになっていけるようTOKYO SOURCEとしても今後ともぜひ力になっていければと思っています。

そして次回の「アーストリップ」VOL.02にもぜひともご期待ください!!

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協賛企業


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<協賛企業>

貝印 株式会社
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世界各地でキッチン用品、製菓用品、ビューティケア用品といった生活用品に加え、医療用品や業務用刃物など1万点にも及ぶアイテムを展開している貝印グループでは「より多くの人に、より良い商品を」を企業理念に掲げ、消費者の生活に密着した様々なプロジェクトに積極的に取り組んでいます。最近では「KAI Touch Project」をスタートさせ、消費者とのコミュニケーションや地球環境への意識改革などへ活動を広げています。その一環として、今回私たちTOKYO SOURCEの理念・思想に共感をいただき、協賛という形で旅をサポートしていただくことになりました。協賛により今回のツアーは、特別価格でのご提供が可能になりました。
「KAI Touch Project」
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<協賛企業>
東北緑化環境保全株式会社
企業のサイトへ
今回、「環境ソリューションを通じて、社会に貢献する会社であること」を企業理念に、緑化活動に取り組まれている「東北緑化環境保全株式会社」様より苗木のご提供をいただきました。当初より多くの苗木を池谷の地に植えることが可能となりました。